面接官は正しかった

普段従事しているパートの仕事は、仕事量に波があります。
遊んでいるわけにもいかないので、期間限定のパートを探したりして、その窮状をしのぐのですが、そういう時には、同様に仕事に波がある職種がマッチします。
そんな暇な時期に、たまたまホテル清掃の仕事を見つけ、うまい具合に期間限定だったので応募して、性質上、すんなりと採用してもらえました。
実はこの職場へ、数年前に応募したことがあったのです。
当時は常勤のアルバイトを募集していて、面接をお願いしました。

清掃も嫌いではないし、他の条件も悪くなかったので、さすがに一年を通しての波はあるにせよ、常勤だから安定すると思い意気込んで面接に行きました。

面接官は中年男性で、感じもよくて、わたしの採用も乗り気みたいで、途中からうっかりわたしはルンルン気分になっていました。
最後はうかつにも世間話の連続で、決まり悪くなって無礼を詫びて腰を上げました。面接の結果は、不採用でした。

世間話の無礼が原因ではなく、その中で自分が方向音痴であることをばらしてしまったからです。
もちろん不採用の理由は聞けませんが、わたしはきっとそれだと思いました。
そこはかなり大きなホテルで、部屋番や方向を熟知するのはかなりの時間を要すると思われました。
そんな巨大な建物の中で、方向音痴の人間は勤まらないと思われたのでしょう。
短期限定だったひと月の間、わたしは常勤のパートの人に「どっちですか、こっちですか・・」といちいち聞いてはうっとおしがられつつ、何とか仕事を終えましたあの時の面接官の男性を見かけることもありました。
たぶん、わたしのことは気づいておられないようでしたが、わたしは心の中で(よくぞ、不採用にしてくれました!)と手を合わせてその人を拝んでいました。

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